先週の木曜日に義母から電話があって、
「碧ちゃん今年からバレンタインデーは止めましょうね」
と。「ではお言葉に甘えますわあ」とすかさず答えてしまった私は鬼嫁でございましょうか。
配偶者の実家は男子2人で“娘”というものが居なかったので、ついつい最初の年に「きっと義父が喜ぶだろう」と手作りケーキを持って行ったのが苦労の始まり。その時は知らなかったんですが、実は義父は大の甘党でして。しかも、(まあどちらかといえばちょっと古風な方の人間ですから)“嫁の手作り”という事にいたく感激しちゃったご様子だったんですねえ。「ちょっとした社交アイテム」程度の心積もりだった私の予想を大きく上回る義父の反応に、当時の私は思わず逃げ道を断たれた気分になったものでございました。
おまけに、困った事に私はお菓子作りが大の苦手。細かい作業が苦手な私にとって、細かく計量したりバター溶かしたり(←ずぼらな私は電子レンジに突っ込むのだが、いつも溶かしすぎて液状にしてしまう)泡立てたり混ぜたり(←一応電気泡だて器使うんだけど、あれ洗うのが面倒なんだよなあ)するのは大変な苦痛なんですね。しかも、あれこれ苦労したって所詮手作りは手作り。普段作りつけてないからいちいち材料揃えるのにも結構お金がかかるし、「素朴」といえば聞こえはいいけども味だって見た目だって今一歩ぱっとしないし。
どうせなら、プロの作ったとっても美味しい既製品を舌に乗せた方がよっぽど建設的なのではなかろうか・・・と思いつつ、“嫁の手作り”を喜ぶ義父の顔を見るたびに、毎年引くに引けなくなっていた気弱な長男の嫁、つまり私だったんですが。流石に義母も見るに見かねたのか(あるいは、あまりにも“素朴”な私のケーキを不憫に思ったのか)、ついに今年、
「やめましょうね」
コールが入った、という訳でございます。ああああああああああああ!ありがとうお義母さま!
で、昨日は何年かぶりで物凄く開放的な気分のバレンタインデーを過ごした訳でございます。ああ、ケーキ焼かなくて良いバレンタインデーがこんなに幸せなものだったとは!(←そんなに重荷だったのか!)きっと義父は内心、「ああは言ってもやっぱり・・・」と期待していたに違いないんですがね・・・あはは。やっぱり鬼嫁かなあ。しかし、いきなり市販のチョコさえ持って行かなかったってのは流石にまずかっただろうか・・・。

ちなみに、昨日焼いたクッキーは、配偶者が何の思い入れも無くざくざく完食しておりました。もしかしたら本人、「これがバレンタインデー」と言うことすら気づいてないかも。しかし、作ったこっちだって「卵とバター混ぜて焼くだけ」というインスタントの粉使ってるんだから何も言えませんけど。ええ、所要時間一時間だし(それでもそんなにかかってるんかい!)。